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気ままに【らき☆すた】【けいおん!】【GA 芸術科アートデザインクラス】の自作小説を書いてます。同人的要素、百合的要素を含みます。苦手な方、嫌悪感を抱く方は見ないことをお勧めします。この中にある小説のいくつかは らき☆すたエロパロスレ または らき☆すた つかさ×こなたに萌えるスレに投下した作品です。
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らき☆すた小説242『出来るのならば最少限の傲慢を』
みなみ→こなた

NO205『出来るのならば最低限の愛情を』の続きです
このシリーズの話で一番苦労しているのは話の筋ではなくタイトル





部屋の向こうからは、何をやっているのか分からないけどかがみ先輩の怒鳴り声が聞こえた。
怒鳴り声と言ってしまうのは行き過ぎな表現に思えるが、叫びともまた違う。
……テレビで時々見る漫才の『ツッコミ』のような声。
それが何度も何度も聞こえていた。
別にそれは構わない。
ここはゆたかの――正確に言えば泉先輩の家だから
柊先輩達とみゆきさんが遊びに来ていても不思議じゃない。
現に私と田村さんとパトリシアさんもこうして泉家に遊びに来ている。
だけどどうしても気になってしまう。

「こなた」と。

かがみ先輩が泉先輩の名を呼ぶたびに、意識が隣の部屋に向いてしまうのを自覚していた。
そして、そんな私を見逃さずにパトリシアさんが疲れたようにため息を付くのも分かっていた。

 


泉先輩に愚かで身勝手で我侭なお願いをした翌日の放課後。
いつの間にかゆたかと田村さんとパトリシアさんと
どこかに遊びに行こうという話になっていた。
考え事とも言えないような思考が頭を巡っていたために
話の合間合間に相槌を打つ程度しか会話に参加していない。
それでもゆたかに「どこに行く?」と尋ねられた時は、ちゃんと反応は出来た。
だけど頭はそんなに働いてなかったらしい。

「……いず――ゆたかの家」

途中で『ゆたか』と言い直した辺りは頭が働いていたはずだ。
田村さんは不思議そうな顔を、パトリシアさんは何か閃いたような表情を、
ゆたかは何事も無かったかのように「それだとお姉ちゃんに聞かなきゃ駄目かも」と
考えた後に三年の教室へ向かっていった。
付いていこうかとも、もちろん思った。
だけど前日の事がある為に泉先輩に会いにくく、結局ゆたかには田村さんが付き添った。
教室に残っているパトリシアさんが机から身を乗り出して私に顔を近づける。
喜怒哀楽をすぐに感じ取れる性格を羨ましいと思うと同時に、
ほんの少しだけ『この人に興味を持たれたら危険かもしれない』などと
言い様のない恐怖を感じた。
隠し事が通用しない、神通力ではないけどそんな力を持っているように思えた。

「ミナミ、ユタカと何かトラブルデスカ?」
「ない、けど」

大きな瞳が楽しそうに近づいてくる。
反射的に俯いて前髪で瞳を隠した。私は根本的に人の眼を見る事が苦手だ。
だけどパトリシアさんは私のこめかみ辺りを両手で挟んで
半ば無理やり私と視線を合わせてきた。
首周りから嫌な音が聞こえた気がする。

「パトリシアさん、痛い」
「ユタカではないとしたら、コナタとトラブルデスカ?」

露骨な反応はしなかった、つもりだ。
それでも至近距離故に視線の揺らぎでバレたのか、
もしくは別の何かを感じ取ったのか、パトリシアさんが目を細めて頷く。
笑っているように見えるのに、それがなぜか怖かった。
とても珍しい事に、パトリシアさんの怒りの感情も見えた気がして。

「またコナタから相談されそうデス」

こめかみに当てられていた手にグッと力を込められた後にゆっくりと手を離され、
頭蓋骨に多少変な違和感を覚えた。ジン、と圧迫された部分が重い。
それよりもパトリシアさんの言葉に興味を覚えた。

「……相談って、なにを?」

待ってましたと言わんばかりの大きな頷きの後、
パトリシアさんはウインクと共に「禁則事項デス」と囁いてくる。
言うつもりはないらしい。だけど、気にさせるつもりだったのは確かだ。
パトリシアさんは常にこんな感じだけど、口は軽くないと思う。
何の意味もなく、誰かから相談を受けている事実や、
ましてや相談内容などは口にしたりはしないだろう。
それなのに今私に『泉先輩から相談されている』という事実を呟いたという事は……
どういう意味になるのか、私には分からない。
暗に何かを言っているのだろうか。
パトリシアさんの笑っているような瞳は、私の想像を裏付けるように
無言でこう言っているように思えた。

『これ以上コナタを悩ませたらダメデスヨ?』

笑顔と視線にかなりの重圧を感じる。
これはパトリシアさんの、泉先輩から相談された義務感から感じるの重圧なのか。
それとも別の感情からくる重圧なんだろうか。そこまで読み取る事はできない。
泉先輩がパトリシアさんを相談相手に選んだのは、バイトが同じだからだろうし、
体も胸も大きいから年を忘れてしまって頼ってしまう存在だからかもしれない。
先輩の位置に一番近いのはゆたかだろうけど、きっと先輩はゆたかには相談できない。
だって先輩はゆたかの『お姉ちゃん』だから。
頼れる姉でいようと頑張っているのは傍から見ていてすぐに分かる。
そう言うところも可愛いと思ってしまうのだけど、今はそれを考えてもしょうがない。
私は昨日言ったんだ。全部忘れてくださいと。
かがみ先輩とつかさ先輩は……私の勝手なイメージながら、隠し事が苦手なイメージがある。
勉強面の相談ならまだしも、人間関係の相談はあまりしない気がした。
みゆきさんは私と距離が近いから
先輩は私が原因の悩み事をみゆきさんには話したがらないはず。
だとしたら当然バイト先が一緒のパトリシアさんに相談する。
もしかしたら田村さんも相談されているかもしれない。泉先輩と趣味は合うみたいだし。

……私は、どうなんだろう。

私は先輩を悩ませている張本人で。そんなつもりがなくてもそれが事実で。
悩ませていなかったとしても、私はおそらく先輩から相談されるような位置にいない。

『先輩は、私の事好きですか?』
『え? 好きだよ』

簡単にそう返される程度の位置。
ゆたかの――妹の、親友。
それでいいと、私は昨日言ったのに。
それでいいと思ったから、全部忘れてくださいと言ったのに。

「ただいま、お姉ちゃんに聞いてきたよ」
「別に問題ないらしいッスけど、先輩達も丁度泉先輩の家で遊ぶみたいッスよ」

会いづらいはずの先輩に会ってしまう私の提案は通ってしまった。

 

パトリシアさんがダイヤのエースとスペードのエースを投げ捨てる。
四人で円になりやっているのはババ抜きで、珍しく田村さんが一抜けしていた。
これで残っているのは私とゆたかだけ。
私の手札はジョーカーとハートのエース。
ゆたかが持っているカードは一枚だけなので必然的にクローバーのエースという事になる。
順番はゆたかが私のカードを選ぶので私は二枚のカードを取りやすいように差し出した。
ゆたかの小さな指が何度もカードの上をさまよう。
勝ち負けもあまり気にはしていないけど、
何となくどっちのカードも取られたくないと思った。
それは全く勝負にならない事なのだけれども。

「……こっちかな?」

最後にはカードではなく、私の顔を確認した後にゆたかはハートのエースを選んで引いた。
私の手に残ったのはジョーカー。
ゆたかがホッとしたようにハートとクローバーのエースを中心に投げる。

「みなみちゃんって分かりやすいよね」
「そうかな」
「ジョーカーのカードを取ろうとした時に手がピクって動いたから」

無自覚だったので何も反応が出来ない。
ただ、手元のジョーカーと取られたハートのエースを見比べた。
見比べたところで紙上で踊っているジョーカーは踊るのを止めないし、
ハートが黒くなるわけでもなく、私はハートのエースの上にジョーカーを投げ捨てる。
隣の泉先輩の部屋はしばらく静かだったけどまたかがみ先輩の声が聞こえた。
声が高いからだろうか。かがみ先輩の「こなた」と言う言葉はよく耳に届く。

「……ホントに、ミナミは分かりやすいデスネ」

妙に疲れを宿したパトリシアさんの呟きは、きっと、
ゆたかの言ったセリフとは違う意味を持っているのだろう。
私の視線がカードの山から泉先輩の部屋の方へ移動したのは自分でよく分かっていた。

「ところで次は何する? 隣で先輩達が勉強してるなら騒げないよね」

田村さんはバラバラのカードの山を揃えてシャッフルし始めている。
その仕方を見て、意外と器用なんだなと変に尊敬した。

「でもお姉ちゃん達そろそろ休憩すると思うよ」
「それなら先輩達も誘う?」
「いや、それは」
「ナイスアイディア、ヒヨリン!」

私のストップはパトリシアさんに遮られた。
ゆたかも「勉強の邪魔になったらダメだよ」と止めたが
「息抜きも必要デス、インポータントデス」と
パトリシアさんがゆたかの額を指で小突いた。
有無を言わせないらしい。
何かを伝えたいのかパトリシアさんの視線を感じるが、
私は読心術の仕方なんて知らないので、見透かされるような視線に焦るだけで。

「ゆたか、お手洗い借りていい?」
「あ、いいよ」

焦っても抗議すら出来ない私はその場を一旦離れる事にした。
ゆたかの部屋を出てドアを閉めると二回深呼吸して気持ちを落ち着かせた。
そこまで動揺していたわけでもないのに。
パトリシアさんがどこまで知っているのかもよく分からない。
そもそも泉先輩はパトリシアさんに何を相談したんだろうか。
聞ければ楽なのに。
隣の部屋のドアを見つめる。ノックして呼ぶ事は不可能ではない。
不可能ではないが、する気は毛頭ない。
部屋を出たおかげで先輩達の声はさっきよりもよく聞こえた。

「なんか飲み物取ってくるから少し休憩しようよ」
「まだ残ってるから大丈夫じゃないかな?」
「えー、少しだけじゃん。ほらほら、かがみ、一気に飲んじゃって」
「うわっ、ちょっ、零れる零れる!!」
「かがみさん、ティッシュ使いますか?」
「あ、ありがと……」

壁の向こうが見えるわけじゃないけれど、仲がいい四人の姿は簡単に脳裏に浮かんだ。
嫉妬だなんてそんな無駄なものを今更妬いたところで意味もないのに。

「それじゃ何か飲み物取ってくるよ」

ちょっとした自己嫌悪に陥っていたが、先輩の声を聞いて、
ここにいたら先輩に会ってしまうと慌てて部屋に戻ろうとドアノブに手をかけたが
ゆたかの部屋に戻るものおかしいし、だからと言ってどこかへ走り去るのはもっとおかしい。
結局先輩が部屋から出てくるまでつま先に力を入れて立ちっ放しだった。
ガララ、と扉が閉まり先輩が私に気づく。

「……いらっしゃい、みなみちゃん」
「お、おじゃましてます」
「どうしたの? トイレ?」
「えっと……はい」

一応最初に家に上がった時にもちゃんと挨拶はしたけれど、
先輩は昨日の事を完全に忘れてくれているようで、普通に笑顔で返してくれた。
先輩は、私のあの願いを聞いてくれたらしい。

「そっか。あ、そっちはジュースとか足りてる?」
「大丈夫です」
「足りてるんだ、足りてないなら買ってこようかなとも思ったんだけど」

他愛のない世間話を、お互い一歩も歩かずに部屋の前で突っ立ったまま交わす。
この微妙な距離がリアルで遠かった。

「あ、あの、先輩。今までの事、気にしてないんですか……?」

少しでもこの距離を近づけたかったのか。
それともいっそ距離を遠ざけようとしたのか。
ただ単に話のネタを間違えてしまったのか。
私のセリフに先輩は目を細めて、短く息を吐いた後に私を見上げた。

「――忘れてくれって言ったのはそっちだよ?」

先輩は私の願いを聞いてくている。
なのになぜこんなに胸が痛むんだろう。
思わず視線を伏せた私に罪悪感でも感じたのか、先輩が私に近づいた。

「昨日、私がみなみちゃんに会いにいった理由、知ってる?」
「……面白かったから、ですか?」

確か私が先輩を抱き締めてしまった日は、ゆたかに私をそう形容したはずだ。
先輩は「へ?」と呟いた後に一体何の事を言われたのか分かったらしく
慌てたような咳払いをして誤魔化し笑いを浮かべた。

「面白かったと言うか、気になったんだよ」
「どうして」
「みなみちゃんって、何だか昔の……中学の頃の私に似てる気がしてさ。
 とは言っても、気がしただけなんだけどね。
 人と一線を引いて遠ざけてる気が……いや、違うかな」

先輩が、もう一歩私に近づく。

「――私と一線を引いて遠ざけてる気がしたんだよ」

自分の家だからか靴下を履いていない先輩の足が見えた。
目の前にいる。なぜか、そんな事にだけは敏感な先輩が。

「図星、だよね? みなみちゃん。だから、迷惑かもしれないけど放っておけなかったんだ」
「……放っておいてもよかったんですよ」
「出来ないよ。だってみなみちゃんは大事な……後輩だもん」

私は、忘れた。
つい先日、全部忘れてくれと言った事も。
ここがどこかという事も。
周りに誰がいるかという事も。

思いのまま先輩を抱き寄せて唇を奪った後に場所を思い出しても、もう遅く。

何の用かは分からないが、
先輩の部屋から出てきたみゆきさんと、先輩の肩越しに視線が合った。

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