忍者ブログ
気ままに【らき☆すた】【けいおん!】【GA 芸術科アートデザインクラス】の自作小説を書いてます。同人的要素、百合的要素を含みます。苦手な方、嫌悪感を抱く方は見ないことをお勧めします。この中にある小説のいくつかは らき☆すたエロパロスレ または らき☆すた つかさ×こなたに萌えるスレに投下した作品です。
[446] [444] [443] [441] [439] [437] [435] [433] [431] [429] [427]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

らき☆すた小説196『出来るのならば最上級の断罪を』

リクエスト作品【みなみ×こなた】です
しかしどう見てもみなみ→こなた

NO69『出来るのならば最大限の警戒を』の続きです


みなみが病み気味です




「みなみちゃん、昨日何かあった?」

挨拶をすませた、朝のHR数分前。
ゆたかは声のトーンを下げて、どこか言いにくそうに尋ねてきた。
質問の意図が分からずに視線で問うと、
ゆたかは「大した事じゃないんだけど」と前置きして苦笑した。

「昨日、お姉ちゃんと話した?」
「……うん」

話したも何も、それ以上に自分でもよく分からない事をしてしまった。
保健室にゆたかの様子を見に行ったすぐ後の事だ。

「昨日の晩御飯の時、家でお姉ちゃんがみなみちゃんの話をし始めて……
 『今日のみなみちゃんは面白かった』って心配してたから」

面白かったとは、どう言う事だろう。
泉先輩が笑えるような出来事ではなかったはずた。
むしろ『変だった』や『おかしかった』という表現の方が正しいと思う。
……もしかすると、その三つは泉先輩の中で同意語なのかもしれない。
そして、先輩は私を心配する前に自分の身を心配すべきだ。
私はそれぐらいの事をしてしまったと思うのに。
これっぽっちも警戒してないのかと、無意味な悲しさが胸に残った。

 

言ってしまうと、私は『泉こなた』という人物をそこまで詳しく知らない。
みゆきさんと同じクラスで、ゆたかの姉のような存在。
運動神経はいいらしく100mのタイムは私と一緒。
俗に言う『オタク』らしくて背は低い。……胸は私よりあるとか。
パッと思いつくのはこの程度。
初対面の時は驚いた。
ゆたかが話してくれていた『お姉ちゃん』である泉先輩が……
その、言っては悪いけどゆたかと大して身長が変わらなかった事。
保健室の前で話していたにも関わらず本気で保健室の場所を分かっていなかった事。
今まで私が『姉』と聞いて想像するのはみゆきさんのような、
どこか抜けてるところもあるけど基本的に見た目も精神的にも
年上だと分かりやすい人だったから、そのイメージの差に驚いた。
それぐらいにしか思っていなかったけど、ゆたか関連で少し話すようになり
この人はゆたかをよく見ている人なんだと感心した。
花火大会の時、ゆたかの体調不良に真っ先に気づいたのは泉先輩だった。
何気に周囲に気を配っている先輩。
身長や胸が小さいのを(気にはしているみたいだけど)ネタにしている先輩。
そうやって自分の短所を長所、魅力にしている先輩を尊敬した。

だけど、数ヶ月前。
たまには学食で食べようと、ゆたかと田村さんとパティさんと私で
学食へ行った時に偶然先輩達四人組に会った。
かがみ先輩と話している泉先輩。
つかさ先輩と話している泉先輩。
みゆきさんと話している泉先輩。
そして。

「おー、ゆーちゃん達も学食?」

ゆたかに話し掛ける泉先輩。
全て私と話す時とは少し違って。
どこが? と聞かれるとはっきりとは答えられないのだけど、
あぁ、私はゆたかの親友としか思われてないんだなと……そう思った。思ってしまった。
その瞬間、泉先輩に感じる尊敬の念が少しずれたのを感じた。
好奇心や独占欲に似ているけど違う感情が胸の奥で生まれたのを感じた。
生まれた感情を殺そうと胸の底に沈め続けているけども
居座り続けているそれが昨日、溢れてしまった。
にも関わらず、先輩は私が謝ってもその意味を理解していない。
罪悪感すら許してくれない。私が罪悪感を抱く理由すら、分かっていないから。
あまつさえ『今日のみなみちゃんは面白かった』と言ったらしい。
なるほど、確かに面白い。私からすれば自分自身が滑稽だ。
薄く自嘲の笑みを浮かべた私をゆたかが呼んだ。
そろそろ朝のHRが始まる。
今日はゆたかの調子も良さそうだし、体育もない。
倒れる事はないだろうと安心した時にちょうどチャイムがなった。


今日は特別これといった事もなく授業が終わった。
最後の授業中に眠っていたらしい田村さんが
「こんな事はありえないから!!」と立ち上がって叫んだ事は失礼だけど笑った。
どんな夢を見たのかとゆたかとパティさんと一緒に聞いたけど教えてくれず、
その時に遊びに行こうという話になったけど断わる。
別に用事があるわけではないけど、気分的に乗らなかった。
三人に手を振った後、理由もなく保健室に向かう。
いや、保健室の前の廊下に向かった。
昨日先輩を抱き締めてしまった場所。
あの時は授業が開始された直後だったからこの場所に人は通っていなかったが
放課後になった今は部活生と思われる生徒がちらほらと通っている。
光景をじっと見ていたけど、何の意味もないなと思っていた時に背中に誰かがぶつかった。

「す、すみません」
「……いえ、こちらこそ」

肩甲骨の少し下あたりに頭と思われる部分が当たったから、
何となく『この人なんじゃないか』と振り向く前から分かった。
それに声で一発で分かる。敬語だったけど、分かる。

「大丈夫ですか、泉先輩」
「あ、みなみちゃんだったんだ」

そんな前も見ないほど走っていたのだろうか。
確かにここは廊下の曲がり角で死角かも知れないけれど。
でも三年生の校舎は別だし、昇降口も違う。
こっちに来る理由が分からない。

「なぜここに? 保健室に用事ですか?」
「違う違う。最後の授業中に暇で暇でかがみにメールしたら
 かがみってばマナーモードにしてなかったみたいでさー。
 怒ったかがみに追いかけられたから逃げてきたんだよ」

佐藤って苗字じゃないのにリアル鬼ごっこだよ、と泉先輩が笑う。
怒られると言う割には楽しそうに。

「……楽しそう、ですね」
「ん? まぁ、かがみも本気で怒ってなかったし。
 私も謝って、かがみもマナーモードにしてなかったから私に強く言えなかったみたいで」
「なら、なぜ逃げたんですか?」
「単なる遊びかなぁ。かがみは絶対追いかけてくるって思ってるし」
「……どうして」

そんなに自信があるんですか。
聞くつもりはなかったけど思考の前半を勝手に口が紡いだ。
泉先輩はそれだけでも私が聞きたい事が分かったのか「聞きたい?」と得意げに猫口になる。
……どうして、昨日おかしな行動をされた場所で、された私にそんな風に笑えるのだろう。
流石にそれは聞けなかった。

「かがみはツンデレのツッコミだから。誰かがボケたらツッコまずにはいられないんだよ」

つまり、怒られてる最中にかがみのお腹がなった事を
思いっきりちゃかした私を必ず追いかけてくるよ、と。
泉先輩が人差し指を振りながら二回頷いた。

「かがみのダイエットに協力する為にあちこち動き回ってるからまだ捕まってはないんだけどね」

……それは。
携帯の事よりもお腹がなった事をちゃかした事を怒っているんじゃないですか?
とは、言わないでおいた。
だってそんな事は私よりも泉先輩の方が分かってるだろうから。
私なんかがわざわざ言う程の事じゃ、ない。

「ところで、みなみちゃんは何でここに?」

正直、理由はない。
あえて理由を挙げるとすれば……昨日の事を思い出して黄昏れる為、だろうか。
なんて愚かで惨めな理由だろう。

「昨日の事……覚えてますか?」
「んー? うん。覚えてる。……あれって何で謝ったの?」
「……やっぱり分かってないんですね」

分かっていたら、私を避けるはずだ。
こんなところで普通に会話をするなんて事はない。
謝る理由を尋ねる事もない。

「いや、だって……驚いたけど嫌じゃないよ。それに心配だったから。
 妙に思いつめた顔してたし、みんなが羨ましいとか言ってたし……
 悩み事あるなら聞くよ? これでもゆーちゃんのお姉ちゃん代わりだからね」

見た目的には不安要素しかないだろうけど、と泉先輩が胸を張った。
その、余裕を持った表情を崩したいと思う。
先輩とは思えない幼い体や表情を、愛したいと同時に蹂躙したい。

こんな事を本人にどうやって相談しろと言うのか。

無言になった私を先輩がしばらく見上げていたけど、
かがみ先輩を気にしたのか辺りをキョロキョロと見渡し始めた。

「……んと、言いたくなったらいつでも言ってよ。
 そろそろかがみが来そうだから私は移動するけど」

じゃあまた、と手を振る先輩に私も手を振ろうとして……なぜか、先輩の手を掴んだ。
そんな事をするつもりがなかったのだから、自分の行動に対するフォローもすぐには思い付かず。

――行かないでください

思い付かなかったけど、喉まで出かけた本心を飲み込んで胸の奥底に沈める事だけは出来た。
それでもゆっくり浮かんでくるのを感じる。
浮かんではいけない感情が、昨日と同様浮かんでくる。

「み、みなみちゃん?」

不思議そうな声。
心配している表情。
あぁ、やっぱり違うんです。
私が聞きたいのはそんな声ではなくて。
私が見たいのはそんな表情ではなくて。
だから――

「……見ないでください」
「え?」
「――何も、見ないでください」

先輩を苦しめるもの、悲しませるもの、楽しませるもの、怒らせるもの。
全て、何も見ないでください。
私が先輩を苦しめるなら、私も見ないでください。

見ないでいいから……側にいてください。

沈まない。
沈ませなければならない思考が、あってはいけない思考がこめかみで騒いでいる。
思考が、ベルリンの壁を壊す民衆の様に理性を叩いている。
蓋を開けろと、浮かび上がってくるたくさんの声が五月蝿くて。
でも、それだけなら私は我慢できてきた。
昨日と同じように手を離して、謝る事が出来ていたと思う。

「やっと見つけた、こなた!!」
「あー、かがみ」

トドメは泉先輩とかがみ先輩の声。
離しかけていた手を、その声が聞こえた瞬間に強く自分の方へ引いた。
私に腕を捕まれていたままかがみ先輩を見ていた泉先輩があっさりと腕に納まる。
驚いてはいるだろう後ろ向きの先輩に右手で目隠しをした。
私も、かがみ先輩も見えないように。
昨日と同じで軽くて小さい先輩。
違うのは周りに人がいるという事。
なにより、かがみ先輩がいる事。

「先輩は残酷です」
「ざんこく……?」

言葉の意味を分かっていない子供の様に鸚鵡返しされたが気にすることなく、
目を丸くして停止していたけどようやく動き出して
こっちに向かってきたかがみ先輩も気にせずに私は「そうです」と呟いた。

「懺悔を許してくれないじゃないですか。懺悔をする事すら……させてすらくれない」

分かっている。
その理由は、先輩は私が懺悔する必要がないと思っているからだ。
私の深層心理なんて知らないから。
知ったらそれを理解して私を警戒してくれるだろうか。
そういう目で見られているんだと、自覚してくれるだろうか。

「だから先輩、お願いです」

先輩の耳元で素早く『お願い』を呟いた後、私は腕を放して先輩の背中を軽く押した。
トトッとよろめいた泉先輩をすぐそこまで来ていたかがみ先輩が支える。
私の『お願い』を聞いたけど理解が出来なかったのであろう泉先輩に会釈して
踵を返し昇降口へ向かった。
今日の事を、泉先輩はまた家でゆたかに話すんだろうか。
その場合は何て言うのだろう。また「みなみちゃんが面白かった」とでも言うんだろうか。

「ま、待ってみなみちゃん!! 今の、意味がよく分かんないよ!!」

背後から泉先輩の声がした。
私は振り向かず、足も止めずににいつもの声量で「言葉通りです」と呟く。
そう、本当に言葉通りのお願い。


――私が先輩に酷い事をする前に、私を嫌ってください


どうか、私が先輩を奪ったりする前に、私の感情に死刑宣告をしてください。
他ならぬ泉先輩にそれを頼む事ぐらいは……許してください。
昇降口に着くとドッと体が重くなり靴箱に寄りかかると、
さっき泉先輩に目隠しをした右手で自分の目を覆った。

PR


忍者ブログ [PR]
カレンダー
06 2020/07 08
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
バーコード
ブログ内検索
カウンター